幼児化という言葉

 最近はまっているのが茂木健一郎シリーズなのだが、以下思ったことは本ではなくて何かの講演記録で話されていたことからの連想だ……
 講演で茂木さんが言っていたのは、“美”というものは個別的かつ主観的なものなので原理としてひとくくりに出来ないのだ、というよなことだったように思う。これに対し全体的で客観的なものが科学であったり、ようは数値化してなんらかのモノサシで測ったものとして相対化してしまえるようなことども。翻って“おいしさ”はもとより、人それぞれの体験というものすべては、個別的で主観的なものだから、括ることはできない。同じ感情を共有することはできないのだ。
 しかし。
 人はそれぞれだから、人それぞれに考えもあるだろうからと、物事を正面から語らなってしまうことや、ほんとうはそれぞれが心に考えももっているのに話さないことに慣れること、なによりそのような状態でもとりあえず生きていけること、肝心な問題に手をつけずとも済む状態にいて、とりあえず無難な会話のみが進んでしまう状況、とっつきやすい物事(共通項の多い全体的で客観化できやすいもの)にのみ合意が形成されていくこと……。などなどがオリモノのように深く深く積み重なって、様々な因果関係に対して思考停止に陥ってしまうことを、一言“幼児化”という言葉で切り捨ててみたかった。進歩ないじゃん。
 ごめんh