今日は山梨。

buon-noson2006-09-07

夫婦共々おつき合いを頂いている平飼い養鶏の第一人者、SMさんに連れられて、仲間のぶどう農家Hさんの農園へ。ハリケーンの影響、あいにくの雨模様だったが、テラスからの眺望は、眼下の田園の広がり、山ごしに遠望されるだろう富士山のポジションともに絶好。そんな心地よい場にいて、あるNPOの説明を試みた。

そのNPOは食べもののおいしさを極めて重要視していて、人間はおいしさという快楽を享受する権利を持ち、これを損ない貶める権利は誰にもないと主張する。グルメを自称し、本当のグルマンは彼の胃袋に納まる食材の何たるか、環境を汚していないか、搾取していないかも含めて知ってこそ、汚れ無き本当のおいしさ、満足を味わうに至ると言う。

そんな彼らの示すおいしさとは、地域固有の事情に立脚し培われ表れるもので、決して規格化標準化されたものではない。故に彼らは大量生産され均質化された味を否定するが、そこに根を持つのではなく、その対極に位置する多様性を支持し、地域の多様性、種の多様性、文化の多様性などなど、多様性に根ざしておいしさを定義しようと試みる。また、食の作り手においては小規模生産者を、地産地消を支持する。翻り味覚においてはその多様で微妙な味わいの違いを楽しめる五感の健全を願って味覚教育、食育を実践し、こうした多様性を認め合える社会を夢想する。

相当に思想がかっていて、とてもじゃないが心おきなく「んめぇ〜」なんて言えない気もするが、こうした認識がすべての人に浸透して、社会の仕組みも伴ってくれば、食について難しく考えたり、疑ったり、認証とかを気にしなくても済むようになるのかとも思い、僕はこの運動が好きで、支持者だ。ただしHさんには嫌われたくなく、そんなムツカシイことも言えず、ようするにイタリア版の地産地消なんですよねぇ……。Nさん、なるほどねぇ、で納得。

このNPO、名前をスローフード協会という。彼らの造った学校の若者たちが、こんど山梨に研修に来るのだ。たのしみ。

写真は羅須地人協会、セロひきのへや。大好き。